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トップページ > 地球元気村通信 Vol.83

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日本一に身を寄せる 富士山 見て登って感じる山
富士山の集いモニュメント
河口湖北岸にある「富士山の集いモニュメント」。北は北海道の「蝦夷富士」(羊蹄山)から南は沖縄県の「本部富士」(目良山)まで、全国各地にある252の愛称「○○富士」の山の石で形成されている。富士山は、日本の山々の憧れの頂点だ

信仰の山

― 富士山は、今は観光地として眺めたり登ったりで人気がありますけれど、元々は霊峰ですよね。昔は女人禁制だったり、そういう歴史を重ねて徐々に一般にも開かれてきたんですよね。

小池日本は山岳信仰の歴史がある国ですからね。霊山を遥拝、そして登拝する。昔の登山っていうのは、ある意味修行ですよね。神に会いにいく。今でも五合五勺に昔ながらの霊場がありますよ。日蓮宗のお坊さん達が毎年麓からそこに登って来ます。
風間 富士山に登る、歌があったよね。
小池 「六根清浄」ですね。
風間 そう、それ。六根清浄。
小池 六つの魂を清める。目、耳、鼻、口、手、肚、その六つを清めないと、人間は極楽浄土に行けない。清めながら登って行って、完全に清められた穢れのない状態になって、頂上で、神様に一番近いところでお言葉をいただいて里に持ち帰ってくる。それが山岳信仰ですよね。
風間 だってさ、精根尽き果てて登ってくんだよ。出し切って得られた充実感。そこには本当にすがすがしい心境があるよね。そりゃ、神様に会えると思うよ、みんな。間違いない。登ればわかるよね。
小池 山に登る目的が、信仰ではなくレジャーになったのは、日本にやって来たヨーロッパ人が、日本にもいい山あるよって世界に紹介したからだと言われています。
でも、幕末にヨーロッパの人達が富士山に登る以前、すでに江戸時代中期には、修験者ではなく一般の人達が登る富士講というのが、江戸を中心に爆発的に流行っていたんですよね。それで富士山がすごく開かれました。講っていうのは、集まるっていう意味です。つまり富士講というのは、富士山に登る人達の集まりです。

― それはレジャーですか?

風間 富士山信仰だね。
小池 富士山信仰という名を借りたレジャーです。ツアー登山のはじまり。案内人がいる宿が麓にあって、そこでいろいろ登山の準備をして、さぁいってらっしゃい、って。それまでの登山は山岳信仰の儀礼だったのが、富士講という名において、それを観光化していった。誰でも行ける山ではなかったので、みんなで少しずつお金を出しあって、村の代表に行ってもらって、その代わり村人全員の名前を書いたお札をもらって帰ってくる。それが富士山の近代登山の始まりといわれています。
小池さんと風間さん
小池さん(写真右)と風間村長(同中央)の出会いは2006年。風間村長がパリ-ダカール・レースで骨折後の復活登山だった。風間村長自身にとっても、それに登ることが肉体とともに心の復活ともなった富士山。思い出話は尽きない

日本人の心の山

小池 最近のツアーのお客さんは、文句を言う割におとなしいっていう話があります。一生懸命だけど、妙に静かで黙々と登るんです。本当に楽しいのかなって。昔のお客さんって、文句は言わないけれど、けっこうワイワイ賑やかだったんですよね。
風間 それはきっと、「僕は富士山の頂上に立った」っていうポイントをゲットしに行ってるからなんじゃないかな。だから山頂に立たなきゃ意味ないし、その過程にはあんまり関心が無いんだと思うな。
小池 そういう意味では、昔の人の方が、富士山そのものを楽しんで登るのかもしれませんね。僕が初めてガイドをしたのも四国から来た老人会のツアーだったんですけれど、みんな富士山を楽しみに来ていて、是が非でも山頂をめざそうというのではなかったです。とにかく憧れてた富士山を歩ければよかった。富士山のそばに住んでいる僕にとっては、当時そういう感覚そのものが新鮮だったのを覚えています。僕が関係する中学校の登山行事では、説明会の時点で生徒に予め自分が登る目標に○をつけてもらったりもありました。「僕は七合目まで」「僕は山頂まで」とかって。自分の目標を自分で決める。必ずしも山頂に立つことだけが富士登山ではないんですよね。もっとも今の人達は、たとえ危険だとわかっても、けっこう説得しないと途中ではやめてくれませんけどね。

― やっぱり日本人はみんな、「富士山だから」っていう気持ちがあるんでしょうか。

小池 そうでしょうね。特に学校関係はそうですね。集団行動を学ぶだけの登山なら、他の山でもいいんですよ。だから、こだわりの存在は感じますね。やっぱり富士山に登りたいって。

― それは、なぜなんでしょう?

小池 やっぱり「日本一」。に、身を寄せるってことでしょうか。みんなが富士山に来る理由っていうのは。みんなが知ってる山であって、日本一の山。いろんな意味で。そういう自然の中に心の拠り所を見いだすって、これも日本人の自然観のひとつなんじゃないでしょうか。そう思います。ね。

小池亦彦

Matahiko Koike

富士吉田市案内人組合登録案内人。富士宮山小屋組合公認ガイド。ひょんなことからガイドという仕事に足を踏み入れ、ひょんなことから風間村長と出会い、以後、風間村長が最も信頼するガイドのひとりとなる。富士山ガイド歴30年、登った回数は800回くらい。ガイドの中では少ない方だとは本人談。この人に富士山の話を聞きだしたら1年中でも飽きずにいられる、と、風間信長が太鼓判を押す"物知り博士"。

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