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トップページ > 地球元気村通信 Vol.83

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自然再生 - 釧路から始まる

アイヌの人たちがサルルンカムイ(湿原の神)と呼ぶタンチョウ。1924年、絶滅したと考えられていたタンチョウが十数羽、釧路湿原で再発見されました。それ以来、給餌など保護活動が続けられ、今では1,000羽を超える数まで増えました。国内の生息可能地域を拡大すると共に冬でも自然の餌がとれる環境づくりを進めることが課題ですが、現在も釧路湿原はタンチョウのもっとも重要な生息地です。
この釧路湿原(約2万ha)は、釧路川の最下流部に位置する日本最大の湿原です。ヨシやスゲなどの低層湿原が大半を占め、緩やかに蛇行して流れる河川が湿原の景観を特徴づけます。タンチョウのほか、氷河期の遺存種と言われるキタサンショウウオやクシロハナシノブなど、数多くの特有の動植物を育んできました。
1972年に日本列島改造論が発表され、釧路湿原の開発構想が持ち上がりました。地元では開発と保護をめぐって大きな議論となり、そのなかで保全地域と開発用地を区分する考え方が示され、地元の保護団体だけでなく開発促進期 成会も釧路湿原の国立公園化を国に要請 しました。こうして1987年に日本で28番目の釧路湿原国立公園が指定され、山岳でもなく海岸や島でもない、市街地に隣接した平野部の湿原を対象としたわが国初の国立公園が誕生したのです。1990年代に入って研究者や地元NPOから、湿原の生態系が急速に病んでいるとの問題提起がなされました。戦後、酪農振興のなかで湿原に流入する河川が直線化され排水路が張り巡らされ、湿原から農地への転換が進みました。乳牛の糞尿からの栄養塩の流入や、開発・森林伐採に伴う土砂の流入など、流域での人間活動が湿原の乾燥化など生態系の劣化を招いているというものです。
こうした指摘を受け、湿原の流域全体(約25万ha)を対象として生態系の保全・回復を目指した自然再生事業が開始されることになりました。河川、森林、農業、自然保護などの行政、研究者、市民団体、農林業関係者など100以上の個人・団体が参加した自然再生協議会が2003年に立ち上がりました。
生態系の再生技術は未確立のなか、河川の蛇行の復元、森林や湿原の再生など、全国の先駆けとなる事業について、手探りで自然の反応に耳を傾けながら調査・検討・実施というプロセスが進められてきました。開始から10年あまりが経ちましたが、まだ緒についた段階であり、今後、地域の日常の暮らしやなりわいと結びついた息の長い事業として進展していくよう期待したいと思います。
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