地球元気村

トップページ > 地球元気村通信 Vol.81

前に戻る次に進む

海から見よう!日本の自然、日本の人

冬の瀬戸内を東西に横断する。7日間300キロ漕破を目標に補給無しの旅。瀬戸内の海はシーカヤッカーにとっては道場のような海である
日本の海、世界中の海
内田海から日本を見ると、本当にいろんなことに気づきます。日本には世界中の海があるんですよ。北海道には世界で一番南までくる流氷があり、南の沖縄に行けば珊瑚礁やマングローブの林もあります。さらに陸に上がれば、新潟には世界で一番南の豪雪地帯だってありますね。緯度帯の割に雨が多かったり、「温帯雨林」という世界でも希有な気候帯が存在するのも日本の特徴です。無いのは砂漠くらい。日本の自然を観察するっていうのは、世界中の自然を観察することになるんじゃないでしょうか。日本は実は世界的に見ても特別に豊かな自然を持っているんですよね。
「気」という日本語
内田日本の自然の多様性も特殊ですけれど、日本語もすごいって思うことがよくあるんですよ。英語では表現できないニュアンスをもった言葉がいっぱいあります。
例えば「気」ってあるでしょ。あれは人間の中に存在する「気」(元気、病気、勇気...)と、自然の中に存在する「気」(天気、蒸気、電気...)と、両方に使いますよね。
時に、その「気」と「気」が交わることがあるんです。カヤックで旅している時、天気予報ってほとんど気にしません。天候の変化、例えば低気圧が近づいて気圧が下がる時は、風向きや肌感覚とかで物理的にわかります。ところが、そうなると自ずと気持ちも下がってきて、明日はやめようか、とかってなる。
―人間の中の「気」も天気に左右されるということでしょうか?
内田そう。それは僕の経験上明らかです。だから言葉としてあるんですよね。
日本人って「空気」を読むじゃないですか。空気を読むというのは人の「気」の圧力を読むんです。それは人と人との間に「気」の受け渡しがあるからなんですね。そういう「気」の受け渡しというのは、人間と自然界の間でも感じられることなんです。
「海気」という言葉を聞いたことありますか。僕が最初に気づいた時、自分で思いついたオリジナルだと思ったのに、ちゃんと辞書にも載っていました。そもそもそういう言葉が日本語の中に存在していたこと自体驚きでしたけれど。辞書には「海の空気」って書いてあります。けれど、僕はこの言葉の奥底にもっと深い「気」を感じるんです。シーカヤックをやっている仲間にその話をしたら、みんなすぐに理解してくれました。みんな「海気」を感じながら旅をしていたんですね。
ところがそれを、今僕が教えている大学の連中に話してもわからなかった。おそらく船の航行にエンジンを使うようになって、人間は「海気」を忘れてしまったんじゃないでしょうか。風と手漕ぎだけの時代には、そこにちゃんとあったものを。
だからきっと明治以降です、忘れてしまったのは。
―逆に言うと、忘れたのはそんなに遠い昔のことではないんでしょうね。
内田そう。だから、今ならまだ思い出すのに間に合うと思うんですよ。
道具を作って王者になった動物
内田人間は、自然界の中で唯一道具を作り出す能力を授かりました。その能力をもって、他をさしおいて地球上で最も広がった陸上動物の王者です。人間は、道具を作ることで大自然を征して来た、というのがヨーロッパ的な考えです。
前に戻る次に進む

バックナンバー

  • バックナンバー vol.93
  • バックナンバー vol.92
  • バックナンバー vol.91
  • バックナンバー vol.90
  • バックナンバー vol.89
  • バックナンバー vol.88
  • バックナンバー vol.87
  • バックナンバー vol.86
  • バックナンバー vol.85
  • バックナンバー vol.84
  • バックナンバー vol.83
  • バックナンバー vol,82
  • バックナンバー vol.81