地球元気村

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ネコジャラシ、進化すると何になる?

ようこそ野草の世界へ

― なぜ、「野草」なのでしょう?

元々は農業をやりたかったんですよね。それが、紆余曲折の末、山梨の地域おこし活動に携わることになって、その取り組みの中で耕作放棄地の利活用が課題として与えられたんです。耕作放棄地って、いわゆる雑草がいっぱい生えているでしょう。目の前の下草を、単純に排除することばかり考えるのはもったいないな、何かに使えないかな、って思ったのが始まりでした。調べてみると、一口に草とは言っても、みんなひとつひとつ名前もあるし薬効もあるし歴史もある。素材として面白い。それなりの役割が作れることが解ってきて、ならば薬草を使って事業ができるんじゃないかと思うようになったんです。

野草を摘んでいると、無心になるんですよ。まさに座禅や瞑想の世界。自分がどこにいるのかもわからない感覚になって、手先だけが動いて。そんな中、虫や鳥がやってきたり、風が流れているのを感じる。心の奥深いところにまで思いを馳せるようになりました。

作物のご先祖様達

野草って、農業の現場ではとかく敵視されがちですが、そもそも今の世の中にある作物って、みんな元をたどれば野草なんですよ。例えばネコジャラシは、ある作物の原種。イネ科、雑穀として親しまれているアワのご先祖様です。野草が一面に生えている野原って、つまりは食べ物の原点が目の前に広がってるってことなんですよね。
今、スーパーで普通に売っている野菜のほとんどは、江戸末期や明治時代、あるいはそれ以降に日本に入って来たものだって、ご存知でしたか?トマトだって、赤ナスという名で江戸後期に入ってきて、明治時代から食用になったもの。ジャガイモだって長崎から入って来た。カボチャもサツマイモも中南米が原産だし、ニンジンだって西アジアの果樹園の雑草から起源したと言われています。
逆に言うと、現代の食卓にあがっている野菜の中で、日本が原産のものって思いの他少ないんです。例えば、ジュンサイ。それに、ワサビ、ミツバ、セリ、ノビル、ワケギ...香味野菜系ですね。メインにはならない。日常的にもあんまりたくさん食べないものばかり。調べてみると、万葉集に記録されていた野菜って、27種しかないという話もあります。だったら、私達のご先祖様は、いったい何を食べてきたんでしょうね?何千年も?
無心になって草を摘んでいたら、ある時そういう感覚がピピッとおりてきたんです。それは、私が野草を通して日本人のアイデンティティについて考えるようになったきっかけでもありました。
日本人っていったいなんなの?どうや って生きてきたの?って。

おばあちゃんの知恵袋

本人が何千年もかけて、作物にしようとして、結局そうはならずに消えてしまった植物の種がいっぱいあるだろうなって思うんです。
ではなぜ消えてしまったのか?伝統品種は、発芽率も不安定だし、先祖返りだってある。作物として商売にしにくいんです。一方、今の世の中でみんなが日常的に食べている品種は、元々は人間が野草から見つけたものを交雑育種交配させて、人間が食べ易いよう、育て易いよう都合よく改良した家畜みたいなものなんです。
でも、だからこそ野草の中には人間がいじっていない世界が残っている。それがすごく貴重に思えて。野草と向き合っていると、その中に現代の日本人が忘れてしまった食文化の原点みたいなものが隠されている気がするんです。それは、例えば昔ながらの地域の伝統行事やお祭り、風習などに今も繋がっています。それこそ、何千年も受け継がれてきた日本人の暮らしが見える。


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