地球元気村

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  • 西川昌徳の北米自転車冒険記

  • 西川 昌徳 Masanori Nishikawa

    「冒険×教育」をテーマに、ミニマムなバイクパッキングスタイルで世界を走り続ける自転車旅人。世界27カ国80,300kmを走破。旅先と日本の教室をテレビ電話でつなぐLIVE授業を全国の小学校で実施中。福島県特別非常勤講師。福島県新地町ICT活用協議会アドバイザー。2014年ファウストアドベンチャーズAG社会貢献活動賞受賞。

    西川 昌徳 Masanori Nishikawa

  • カナディアンロッキーの トレイルでキャンプ

    「すぐに日本大使館まで来てください!」僕は自分の耳を疑った...。夜に身ぐるみ剥がされた強盗事件の翌朝、保護された警察署から2500km離れた日本大使館に電話をかけたのだ。保護してもらえるのではないかという僕の淡い期待は一瞬で消え去った。お金もない、パスポートもない。初めて来たメキシコにまだ直接の知り合いはなく、アメリカにも戻れない。目の前が真っ暗になりそうだったが、必死に思い巡らせる。そうだ、国境を越える前にお世話になっていた家族に連絡をとれないか。警察のスマホを借りて、自分のメールを開き、サンディエゴでお世話になっていたご家族、梶さんの携帯を鳴らした。数時間後、梶さんの姿を警察の門の向こうに見たとき、思わず力が抜けた。梶さんが身元引受人となってくれ、車に乗った僕たちは、メキシコに住む彼の友人宅へ向かうこととなる。その道すがら、僕は梶さんに、ある思いをぶつけた。「梶さん。もう一度だけ走りたいんです。僕は別の物語を持って日本に帰りたい。」運転しながら、一瞬だけキッと僕の顔を見つめ、また前を向いた梶さんはこう返してくれた。「やってみたらいいよ」その言葉にどれだけ勇気をもらえたことか。友人宅に到着した僕たちは、私達の国ですまなかったとメキシコの友人家族に迎えられた。その夜、僕はスペイン語しか打てないパソコンを借りてFacebookにこう書いた。【Facebookより】ごほうこく。ごうとうにあいました。ぱすぽーと、おかね、そのほかほとんどのものをうしないました。けどじてんしゃはのこりました。(中略)きめた。ぼくは、またはしる。さいごまではしる。そしてにほんにかえる。この投稿を見た仲間の行動により、ドラマが生まれることになる。過去に青年海外協力隊でメキシコに住んでいた仲間が、この僕の記事をスペイン語に翻訳し、メキシコの友人にむかって呼びかけてくれた。「大好きなメキシコで起こった悲しいことだけど、彼はあきらめないで走ろうとしている。なんとか彼をゴールまでサポートしてあげてくれないだろうか?」と。その日から、僕と彼のところにメキシコ中からメッセージが届きはじめる。強盗へ遭った僕への支援の申し出だった。町から町へ。家から家へ。毎日のように知らない誰かが僕のことを待ってくれている。ただひたすら走った。走り続けた。家に泊めていただき、出発のときには「ここは君の家だ。いつでも帰っておいで。」とハグをしてくれた。足りない服やカンパまでいただくこともあった。1ヶ月後。僕は日本大使館のあるメキシコシティにたどり着き、日本に帰国するための渡航書を持ち日本に帰ってくることができた。小学校の教え子たちも、先生方も本当に喜んでくれた。そして世界は悪いこともあるけれど、良い人もたくさんいることが分かったと僕に話してくれた。ときに旅は厳しい現実を運んでくる。けれどもそれを受け入れることから物語がはじまる。旅するように生きること。僕はこれからも旅を続ける。自分のために。顔の見える世界を届けるために。

メキシコシティで迎えてくれた家族と到着記念の1枚
出発前、お世話になった家族と握手をする。
(自転車と子どもたち)ゴールのメキシコシティに駆けつけてくれた友人
その場に居合わせた地元の子どもたち。
町を出る前に訪れた強盗現場。梶さん撮影。
「みんな心配してるからこれでSNSを更新しなさい」ラパスという町ではスマホをプレゼントしていただいた。
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