地球元気村

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縄文流 いのちの伝え方

縄文人の道具、「石」

僕が育った山梨県の塩山周辺は、昔から遺跡が発見されていて、畑に土器の破片が落ちているのも珍しくないような土地柄でした。子どもの時、近所のぶどう畑にひろいにいったのを鮮明に覚えています。その頃から僕も石斧のようなものをつくって遊んだりもしていました。でも当時の僕にとっての石は、ただのマンモスを殺す道具にしかすぎませんでした。
道具としての石の魅力に本当に出会ったのは、僕が大工という職業についてからです。
僕という人間の一番根底にあるものは、全ての命をつなげるものづくり、全ての命をつなげる生き方です。大工の仕事にしても、極力機械を使わない手道具によるものづくりを追求してきました。その中で、一時は鉄の手道具が自分の求める、命をつなぐものづくりの到達点だと思っていたんですけれど、何かが腑に落ちなかった。そこへ、石との出会いがあったんです。つくった石斧を、最初に木に向かって一振りした時、その一瞬で、ここに自分の求めるもの全てがある、これこそ僕が考えていたものづくりができる道具だ、と直感したんです。それで石の道具にのめりこんでいって、石斧=縄文文化に傾倒することになったわけです。僕は、大工になって本当によかったと思っています。そのおかげで、僕はこの石斧という原始からの道具を使える環境にたどり着いたんですからね。

石と鉄

- 鉄も石と同様に自然の中にあるものだと思うのですが、石とは位置づけが違うのでしょうか?

鉄の道具をつくるにはまず、山を崩して大地を掘り起こし、鉄鉱石や砂鉄をとらなきゃいけない。そして火を使うために森を伐り、炭をつくらなきゃいけない。昔のアニメにもありましたよね、たたら製鉄。森が侵されるんです。鉄をつくるにはもの凄い量のエネルギーと環境破壊が伴う。
僕は石を知ったことで、鉄のよくないところも具体的に見えてきたんですよ。森を切り開くには、石斧だと限界があるんです。クヌギとか、硬い木だと石斧は木に負けてこわれてしまいます。だから、一本の木を切るにしても、石斧が何十本も必要になるんです。ところが、それが鉄斧だったらどんな木でも切れてしまいます。あっという間に。鉄斧は石斧のだいたい5~6倍くらい速いんです。楽に切れるし、人間の思うように森を切り開き、開発していくことができる。
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