地球元気村

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過去を知り、今を考え、未来に活かす

山梨県考古学協会会長 田代孝さんに聞く
住居の入口に埋められていたという逆位の深鉢型埋甕(釈迦堂遺跡博物館蔵)
人間の表現行為の原点を感じさせられる水煙文土器(釈迦堂遺跡博物館蔵)
愛嬌あふれる土偶たち
(上:南アルプス市教育委員会蔵、
右:笛吹市教育委員会蔵)
考古学は一見古いことを考えると思われがちですが、実際には“過去を知り、今を考え、これからをどうするんだ”ということを世に問うていく実践的な学問なんですよ。
大地に埋もれた住居址は、床を丹念に掘り下げ、土器や石器、土偶を掘り起こし“自分の家より物持ちだな~”などと思いながら、出土したモノや状況からこの土地の昔の暮らしや社会の構造、人々の想いに迫っていくんです。
ここ、山梨県にある釈迦堂遺跡でも、現代のモノづくりの原点とも言える出土品があります。例えば縄文土器は、化学的変化を応用した歴史上初の発明と言えます。これによって、森の産物であるドングリやトチの実等の渋い堅果も、加工することによって食料となり、植物食が大きく広がりました。また、木の樹皮や蔓を柔らかく出来るようになり、道具や服装も豊かになったことでしょう。
縄文土器には食料の煮炊きや貯蔵用途以外に、私たちが「水煙土器」と呼ぶ造形美あふれる土器があります。自然への畏敬、豊穣への祈りが伝わってくるようで、新潟県の「火焔型土器」と合わせ、精神を抽象化して表現する行為の源を感じさせられます。
また、住居の入口に逆さに埋められていた埋甕という土器がありますが、文様がほどこされ、底には意識的に穴が開けられています。内部には副葬品らしきミニチュアの土器や土製円盤が入っており、私たちは亡くなった赤ん坊を入れたお棺という仮説を立てました。それを入口に逆さに置くことによって、日々祈り、上の穴から魂が再生することを願ったのではないでしょうか。縄文の人たちの想いが伝わってくるようです。お棺の原型もここにあるのかも知れませんね。
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